「老ヴォールの惑星」の
小川一水ということで買ってみた。
邪馬台国の女王である彌代(
卑弥呼)と、2300年後から時間を遡ってきた人工知性体の
メッセンジャー・オーヴィルの物語。なんだか正統派過ぎて野暮ったい時間SFだなぁと始めは思っていたけど、これが思いのほか面白かった。同じく過去に遡行してきた戦闘機械群とその時代の人類との戦いに介入して、未来を改変していくことによって、人類が生き残る「時間枝」を発生させることが時間遡行軍の目的。しかし遡行軍の故郷たる時間枝は滅んでしまっているので、
トリトンに戻ることも、サヤカと会うことも二度とないと分かりつつも人類のために戦うオーヴィルが切ない。ラストの怒涛の展開は悲しいけれども、読後感は良好だった。短いけれどもオススメ。