飛浩隆「グラン・ヴァカンス 廃園の天使1」




グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉

以前読んだ、同筆者の「象られた力」に魅せられたので手を出してみた。
序章の匂い立つような文章から、夏の朝の青空の鮮烈なイメージが頭に溢れてきてクラクラきた。
南欧の港町を模した仮想空間の中で永遠の夏を過ごすAIの住人と、その地に起こる異変といった話。
決して清浄な印象だけではなく、苦痛の球体などの凄惨な情景もダイレクトに叩き込まれ、
嫌悪感を覚えていったん読むのを止めていたけど、強烈な文章表現に引き込まれて最後まで読み進めてしまった。
「象られた力」もそうだったけど、SFというよりは幻想小説の趣かな。