神林長平「言葉使い師」




言葉使い師

言葉使い師

神林長平の初期短編集。
「甘やかな月の錆」の前半の小学生が書く文体から、世界の真実を知り
不死から逃れ酸化することで文体も変化するギミックや、
「言葉使い師」の衝撃的な最後の一文など印象に残ったが、
最も揺さぶられたのは「イルカの森」で描き出された文明が滅びた後の悲しい世界と、
そのエピグラムに帰着する結末。


人生とは記憶である
だれの言葉だったか
もう忘れてしまった
神林長平作品のエピグラムは、作品を表していると同時に言葉の美しさもあって、
毎度ハッとさせられる。